発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009072567
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62歳男。2年前から糖尿病性腎症による慢性腎不全で人工透析導入となっていた。今回、発熱、頸・腹部痛が出現し、抗生物質投与でいったん改善したが、倦怠感、小刻み歩行が出現した後に意識レベル低下を来たした。小刻み歩行時の頭部CTではガレン静脈と内大脳静脈部位の高吸収を認め、意識障害出現時のCTでは両側被殻、淡蒼球に低吸収域を認めた。MRIでは両側淡蒼球と被殻にT1強調像で低信号、T2・拡散強調像で高信号を呈する左右対称性の病変を認めた。検査所見より代謝性異常などは否定され、動脈系血管障害も否定的であり、静脈閉塞の有無を確認するためMR venographyを行ったところ、下矢状静脈洞は描出されず、ガレン静脈に血管陰影途絶を認めた。ガレン静脈の血栓性閉塞と考え、heparin、glycerin投与を開始した。その結果、意識レベルは緩徐に改善し、バランス障害が残ったためリハビリ目的で転院となった。発症1ヵ月半後のMRIで病変は縮小し、拡散強調像の高信号も消失していたが、T1強調像で一部高信号を呈した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009