悪性リンパ腫診療update in 2008 最新のエビデンスに基づく診断と治療
悪性リンパ腫を極める 各病理組織型に基づく治療法 血管内リンパ腫
村瀬 卓平
1
1東海旅客鉄道健康管理センター
キーワード:
腫瘍多剤併用療法
,
分類
,
Rituximab
,
CHOP Protocol
,
リンパ腫-血管内
Keyword:
Rituximab
,
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Classification
,
VAP-cyclo Protocol
pp.312-317
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008287686
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血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)は比較的まれであるが、中・高齢者に好発する予後不良のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の一亜型である。腫瘍細胞は小・中血管内で増殖、ときに充満する。腫瘍塞栓による多彩な神経症状や皮膚浸潤など、腫瘤非形成性の節外病変による特異な所見に加え、発熱、高LDH血症など非特異的臨床像のみの症例も多い。とくに本邦のIVLBCLは欧米のIVLBCLと比し、骨髄・末梢血浸潤、血小板減少、肝脾腫、血球貪食が高頻度でAsian variant of IVLBCLの診断基準を満たす臨床像を示すことが多く、膠原病、感染症との鑑別が困難である。本邦IVLBCLの1/3以上はCD5陽性で、一部のCD10陽性例を除き、免疫組織化学ではほとんどがBcl-6±、MUM-1+でnon-germinal center B-cell-like typeを示す。最近、rituximabを化学療法に追加することによる予後改善効果が示された。無皮疹部に複数行うランダムな皮膚生検なども、さらなる早期診断率、治療成績の向上を期待させる。今後、中枢神経再発の予防などの残された問題の解決には、前方視的研究の実施が不可欠である。
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