脳血管障害最前線 Time is brainの時代を迎えて
危険因子の管理 高血圧・脂質異常症・糖尿病の管理
郡山 達男
1
,
松本 昌泰
1広島大学 大学院病態探究医科学講座脳神経内科学
キーワード:
疫学
,
危険因子
,
血糖
,
降圧剤
,
高血圧
,
脂質異常症
,
ライフスタイル
,
糖尿病
,
脳血管障害
,
発生率
,
肥満
,
HMG-CoA Reductase Inhibitors
Keyword:
Antihypertensive Agents
,
Blood Glucose
,
Diabetes Mellitus
,
Cerebrovascular Disorders
,
Epidemiology
,
Hypertension
,
Life Style
,
Obesity
,
Risk Factors
,
Incidence
,
Hydroxymethylglutaryl-CoA Reductase Inhibitors
,
Dyslipidemias
pp.909-916
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008196535
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わが国の脳血管疾患の死亡率は高血圧の管理などにより低下傾向にあるが、高血圧の合併は依然として高頻度である。高血圧は脳卒中の最大の危険因子であり、高血圧患者では脳卒中の発症および再発予防の目的で降圧療法が推奨される。一方、生活習慣の欧米化に伴って肥満、脂質異常症や糖尿病といった代謝異常の合併頻度が増加しており、脳卒中の危険因子としての重要性が増大している。3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A(HMG-CoA)還元酵素阻害薬(スタチン)を用いた脂質低下治療は、血管疾患を有する患者において脳卒中の発症を抑制することはほぼ確立され、脳卒中の再発予防効果については全体としては抑制することが欧米人において示された。糖尿病患者では血糖のコントロールが重要であるが、それのみにより脳卒中の発症が予防できるという科学的根拠はなく、高血圧の厳格なコントロールが脳卒中発症予防に推奨される。今後、日本人の脳卒中を予防するために、降圧治療のさらなる普及・徹底とともに、脂質異常症や糖尿病の管理が重要である。
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