腫瘍内科診療データファイル
疾患からみる各種癌の診断・治療 女性生殖器 子宮頸癌
櫻木 範明
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1北海道大学 大学院医学研究科生殖内分泌・腫瘍学分野
キーワード:
Cisplatin
,
Ifosfamide
,
腫瘍多剤併用療法
,
子宮頸部腫瘍
,
子宮摘出術
,
腫瘍進行度
,
放射線療法
,
リンパ節郭清
,
Paclitaxel
,
Gemcitabine
,
Irinotecan
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Cisplatin
,
Uterine Cervical Neoplasms
,
Ifosfamide
,
Hysterectomy
,
Lymph Node Excision
,
Neoplasm Staging
,
Radiotherapy
,
Paclitaxel
,
Irinotecan
,
Gemcitabine
pp.1255-1258
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008061419
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早期頸癌に対しては手術治療がいまだにもっとも重要な位置を占めている。頸癌の手術は、進行期と患者が治療に対して望む事柄によって決定される。初期病変に対しては、妊孕能を温存する治療が可能である。CIN3(高度異形成、上皮内癌)に対しては、円錐切除術もしくはレーザー蒸散が用いられる。I a1期に対しては妊孕能温存希望の有無、リンパ節転移リスク因子すなわち脈管侵襲の有無によって単純子宮全摘術、あるいは円錐切除術または円錐切除術+骨盤リンパ節郭清が選択される。I a2期には、準広汎子宮全摘術が用いられる。最近は若年女性のI a2期および腫瘍径の小さなI b期(<2cm)に対して、妊孕能を温存する広汎子宮頸部摘出術(radical trachelectomy)が治療選択肢として受け入れられつつある。I b-II a期に対して、広汎子宮全摘術と放射線治療は同等の成績を示す。II b期に対して、欧米では放射線治療(cisplatin併用が推奨されている)が用いられ、わが国では多くの場合広汎子宮全摘術が用いられる。わが国で一般的に用いられる広汎子宮全摘術は、欧米のType IIIと呼ばれる広汎子宮全摘術よりも根治性の高い術式である。広汎子宮全摘術と放射線治療はどちらも根治的治療法として選択されるものであり、合併症の面からも安易に両者を組み合わせるべきではなく、術後補助放射線治療は厳密に適応を検討しなければならない。III,IV期には放射線治療が用いられる。進行・再発頸癌に対して化学療法の有用性はさらに検討されるべきである。
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