発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007018858
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77歳女。約10年前から就寝後両下腿にムズムズする異常感覚が出現し、日中でも生じる様になった。同時に無意識に下肢が勝手に動くperiodic limb movement disorder(PLMD)を合併し、鍼やその他の治療を受けたが効果がなかった。両側下腿内側に静脈瘤、膝蓋腱反射およびアキレス腱反射の低下、下腿から遠位部の表在感覚の低下を認め、血清所見から鉄欠乏性でなく軽度の大球性貧血と考えた。下肢の末梢神経障害および循環障害が認められたが既往の幽門狭窄で胃の2/3切除によるpostgastrectomic neuropathyと考えた。末梢循環改善に針治療や漢方薬投与、不眠にclotiazepamを併用したところ、低温部の改善、ムズムズ感はある程度改善した。また、血清鉄低下を認めたため経口鉄剤(硫酸鉄)の投与を行ったところ、開始1ヵ月後にはムズムズ感もPLMDも1/5程度と著明に軽減し、血清鉄も正常化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2006