発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006016595
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咽頭・食道の扁平上皮領域の拡大内視鏡では,扁平上皮の上皮乳頭内毛細血管ループ(IPCL)のパターンを観察する.このIPCLの変化を捉えることで,扁平上皮の質的診断と癌の深達度診断が可能となってきた.m1の癌では,IPCL type IVないしV-1のパターンを認めることが多い.このパターンを認識することで,スクリーニング内視鏡において1mm癌に代表される超・微小癌の拾い上げ診断も可能となってきた.これまでにこのIPCLパターン分類をベースとして,1mm腫瘍性病変20病変を拾い上げてきたが,1mm癌では鉗子生検(完全生検)で治療が完了するために,これまでの扁平上皮癌に対する治療戦略が大きく一歩前進することになる.一方,さらに生体内で細胞レベルの観察を行うことを目的として,500~1,000倍の拡大能を有するエンドサイトが開発された.細胞診あるいは生検材料の組織診断に相当する画像が得られる.細胞核の観察も容易である.癌・非癌の境界病変に対しても,拡大内視鏡診断を行い,引き続きエンドサイトで再確認する.そしてEMR,ESDに代表される内視鏡治療の適応を決定する.とくに微小病変(5mm以下)に対しては生検が困難であることから,内視鏡による治療前診断が治療法の決定にきわめて重要となる
©Nankodo Co., Ltd., 2005