発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006016587
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わが国の口腔・咽頭および食道の悪性新生物の罹患数はそれぞれ,8,687人(全悪性新生物の1.7%),13,853人(同2.7%)で,年齢調整罹患率は人口10万人あたりそれぞれ男性7.9と14.9,女性2.7と2.0と男性に多い.中・下咽頭癌と食道癌の重複の頻度は,いずれからみても15~20%に達し,術前検査・治療方針の決定・術後の経過観察を含めた総合的な診療体系の整備が必要である.飲酒と喫煙は中・下咽頭癌と食道癌の二大危険因子である.中でも,アルコールの第一代謝産物であるアセトアルデヒドは顔面紅潮,悪心,頻脈などの不快な反応を引き起こすが,アセトアルデヒドを代謝できない体質であるALDH2欠損者では,中・下咽頭癌,食道癌のリスクは増加する.食道領域ではヨード色素内視鏡の普及によって早期癌の発見が増加したが,中・下咽頭の早期癌の発見は困難であった.NBIは臓器表面の微細な血管構造を描出するのにすぐれた新しい内視鏡技術であるが,拡大内視鏡によるNBI観察は表在性の中・下咽頭癌の発見を可能にすると期待される
©Nankodo Co., Ltd., 2005