【痴呆症の最新情報 治せる痴呆を見逃さないために】 頭蓋内疾患に伴うtreatable dementia 特発性正常圧水頭症の治療と予後

特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus:iNPH)は現在の高齢化･少子化社会において,注目されるべき"treatable dementia"の一疾患である.iNPHを治療する際,重要な課題は治療適応の判定である.2004年5月に初版刊行された診療ガイドラインでは,髄液排除試験(lumbar tap test:LTT)を判定の基本とすべきことが明記された.本稿ではまず治療適応判定として現在当院で実施している,LTTを基本とした｢南東北方式フローチャート｣の実際を紹介する.ついでiNPHの具体的な治療方法とバルブ初期圧設定法,ならびに術後合併症の内訳と対策について述べる.最後に筆者の成績を含めた治療成績について言及する