発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005138903
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iNPHの三徴は歩行障害,認知機能障害,尿失禁である.歩行障害は歩幅の減少,歩隔の拡大,足の挙上低下が三大特徴である.認知障害は,注意の障害を中心とした前頭葉機能障害が初期に現れる.尿失禁は,系統だった研究報告がないためにその特徴は明らかになっていないが,臨床的には切迫性尿失禁を認める.三徴以外では,自発性の低下,易疲労性,焦燥などの何らかの精神症状を伴うことが多い.iNPHを疑った際には,各症状の特徴を検討するために適切な検査を施行する.歩行障害については,歩容を観察し,iNPHの特徴である歩幅の減少,歩隔の拡大,足の挙上低下の有無を検討する.認知機能障害については,全般的認知機能の評価のためにMMSEが,前頭葉機能の評価のためにFAB,TMT,digit span検査などが有用である.3徴の重症度の大まかな分類・判定にはJNPHGS-Rを利用する.これらの検査でさらにiNPHを疑えば,MRI,さらにCSFタップテストを施行する.CSFタップテストによる症状の変化をとらえるには,歩行障害に対してはUp & Goテストにおける歩行所要時間と歩数が,認知障害に対してはMMSE,FABなど認知機能検査の得点が有用である.またJNPHGS-Rを用いて三徴の変化をとらえる方法も有用である
©Nankodo Co., Ltd., 2005