臨床室
Leclercia adecarboxylataによる踵骨骨膿瘍の1例
藤戸 健雄
1
,
細野 幸三
,
山田 健志
,
加藤 大三
1愛知県がんセンター愛知病院 整形外科
キーワード:
Ampicillin
,
Ceftazidime
,
Enterobacteriaceae Infection
,
X線診断
,
MRI
,
踵骨
,
鑑別診断
,
掻爬術
,
微生物薬物感受性試験
,
rRNA 16S
,
Alpha-Tricalcium Phosphate
,
骨膿瘍
,
塗抹標本
,
Leclercia adecarboxylata
Keyword:
Ampicillin
,
Calcaneus
,
Diagnosis, Differential
,
Ceftazidime
,
Curettage
,
Enterobacteriaceae Infections
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Microbial Sensitivity Tests
,
Radiography
,
RNA, Ribosomal, 16S
,
Alpha-tricalcium Phosphate
pp.1197-1200
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2018005485
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症例は56歳男性で、2年前から左足腫脹から滑液包炎の診断で経過観察されていた。左足外側にび漫性に腫脹がみられ、皮膚に熱感はないが、やや菲薄化を伴い、圧痛はなかった。単純X線で踵骨に長径3cmの骨透亮像がみられた。CTで一部辺縁硬化像を伴う空洞病変がみられた。内部に石灰化や異物を疑う所見はなかった。MRIのT1強調像で低信号、T2強調像で辺縁低信号、内部不均一な高信号がみられ、周囲の骨にT1強調像で低信号の広がりがあった。造影像では辺縁のみ造影され、中心部は造影されなかった。鑑別診断として感染性骨病変や骨腫瘍を疑い、腫瘤直上から切開生検を行った。骨内から皮下に薄い黄緑色でやや粘性のある液体を確認し、塗抹検鏡でGram陰性桿菌を検出した。非定型骨髄炎のBrodie膿瘍と診断し、術後の抗菌薬はセファゾリンナトリウム(CEZ)を経静脈投与したが、術後3日に院内培養検査でCitrobacter amalonaticusと感受性の報告があり、抗菌薬をレボフロキサシン水和物(LVFX)に変更した。起炎菌同定検査、遺伝子解析を行い、抗菌薬もセフォチアムヘキセチル塩酸塩(CTM-HE)に変更し退院した。遺伝子解析でEnterobacter属であったため抗菌薬をセフトリアキソンナトリウム水和物の経静脈投与に変更した。起因菌はLeclercia adecarboxylataと判明した。二期的手術では徹底掻爬を行い、術後はセフタジジム水和物の経静脈投与を行い、その後は愁訴もなくなり、術後1年半経過したが感染の再燃はなく経過している。
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