臨床室
頸髄症と類似した神経症状のために診断が遅れた両側慢性硬膜下血腫の1例
池上 健
1
,
吉田 英彰
,
吉峰 史博
,
小粥 博樹
,
佐々木 久里
1公立福生病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
MRI
,
四肢麻痺
,
鑑別診断
,
大動脈瘤-腹部
,
硬膜下血腫-慢性
,
頸椎症性脊髄症
,
遅延診断
,
徒手筋力テスト
,
腹部CT
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Quadriplegia
,
Aortic Aneurysm, Abdominal
,
Hematoma, Subdural, Chronic
,
Delayed Diagnosis
pp.1067-1070
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017399266
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
88歳女性。1ヵ月前に屋内で転倒し、徐々に両手指巧緻運動障害、歩行障害が出現したため受診となった。初診時、四肢の徒手筋力テスト(MMT)は4程度で杖歩行であった。入院精査をすすめるも希望せず帰宅し、初診10日後に四肢麻痺が悪化したため即日入院となった。神経学的所見および画像所見より、頸椎症性脊髄症の急性増悪と診断され、早期手術を計画した。しかし、入院時の血液検査でBUN、Crの異常高値を認め、腹部CTを撮影したところ、直径9cmの腹部大動脈瘤を認めたため、準緊急的に人工血管置換術を施行した。術直後より意識障害が持続し、術後3週に頭部MRIを施行したところ、両側の慢性硬膜下血腫が明らかとなり、血腫洗浄除去術を行った。手術直後に意識障害は速やかに改善し、四肢麻痺も徐々に改善した。術後半年経過で杖歩行可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2017