臨床室
手根骨に発生した骨巨細胞腫の1例
稲永 紗季
1
,
森井 健司
,
丸野 秀人
,
本谷 啓太
,
平野 和彦
,
市村 正一
1杏林大学 整形外科
キーワード:
骨腫瘍
,
MRI
,
手根骨
,
X線CT
,
骨巨細胞腫
Keyword:
Bone Neoplasms
,
Carpal Bones
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Giant Cell Tumor of Bone
pp.633-637
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016307919
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47歳女。右手関節の疼痛を主訴とした。骨腫瘍疑いで紹介受診し、右遠位手根列・橈背側に約3cm、弾性硬で可動性のない腫瘤を認め、局所の自発痛が著明であった。CTでは背側に膨隆し、周囲の骨に浸潤する小菱形骨内の骨欠損が描出され、MRIではT1強調画像で筋肉と等信号、T2強調画像で低信号と高信号が混在する陰影を認め、T2強調脂肪抑制画像ではヘモジデリンの沈着を示唆する領域を確認した。針生検の病理組織所見では淡好酸性細胞質を有する単核細胞と多核巨細胞が混在して充実性に増殖し、骨巨細胞腫(GCT)や骨巨細胞修復性肉芽腫の可能性が示唆されたため、拡大掻爬術を適応した。提出検体の病理組織所見は生検時と同様で、紡錘形細胞がないことや急速な臨床経過よりGCTと診断した。術後2年経過現在、局所の疼痛は著明に改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016