経験と考察
加齢による正坐困難とその対策 遠心性収縮訓練の有用性
伊勢 紀久
1
,
藤澤 洋一
1青森敬仁会病院 整形外科
キーワード:
下肢筋
,
加齢
,
筋収縮
,
筋電図
,
膝関節
,
足関節
,
治療成績
,
整形外科的マニピュレーション
,
変形性膝関節症
,
筋力増強訓練
,
座位
,
関節角度測定
,
屈筋
Keyword:
Ankle Joint
,
Aging
,
Electromyography
,
Manipulation, Orthopedic
,
Knee Joint
,
Muscle Contraction
,
Treatment Outcome
,
Osteoarthritis, Knee
,
Arthrometry, Articular
pp.625-631
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016307917
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正坐機能回復を希望する40歳以上の変形性膝関節症(膝OA)114例(平均年齢76.6歳、平均膝最大屈曲角134.5°)に対して下肢筋の遠心性収縮訓練による膝関節機能回復治療を試みた。その結果、正坐可能になった有効例は94例、ドロップアウトは14例、無効は6例であった。ドロップアウトと無効の20例は膝OAの程度にかかわらず5年以上の正坐困難例で、ドロップアウトの主な原因は訓練に伴う筋痛であり、無効例には人工膝関節全置換術移行例3例が含まれていた。また、正坐再開後1年の機能維持例は66.7%、2年後以降では47.8%であったが、正坐再開後の機能維持期間と膝OA重症度との間に明らかな関連性はみられず、また、正坐不能となっても再訓練による正坐機能の再獲得が可能であった。膝関節周囲筋の遠心性収縮訓練により、加齢による正坐困難の機能回復が期待できると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2016