臨床室
腰痛と坐骨神経痛を主訴とし脊椎疾患との鑑別がむずかしかった終末期癌患者の1例
中野渡 正行
1
,
飯田 道夫
,
本間 次郎
,
福原 敬
1札幌厚生病院 緩和ケア内科
キーワード:
Alpha-Fetoproteins
,
Oxycodone
,
坐骨神経痛
,
MRI
,
腫瘍侵入性
,
リンパ行性転移
,
神経組織腫瘍
,
鑑別診断
,
脊椎疾患
,
肺腫瘍
,
ターミナルケア
,
腰痛
,
Pregabalin
,
Tinel徴候
,
腹部CT
Keyword:
Pregabalin
,
alpha-Fetoproteins
,
Diagnosis, Differential
,
Oxycodone
,
Lung Neoplasms
,
Lymphatic Metastasis
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Neoplasms, Nerve Tissue
,
Neoplasm Invasiveness
,
Sciatica
,
Spinal Diseases
,
Terminal Care
,
Low Back Pain
pp.531-533
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016299853
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57歳男性。約7年前に胃癌手術を受けた既往があった。今回、腰痛と右大腿部後面痛を主訴に近医の整形外科を受診、変形性腰椎症として保存的治療を受けるも改善せず、かつ歩行と坐位が困難となったため別の整形外科を数ヵ所受診した。その後、肉眼的血尿を認めたため著者らの施設にある泌尿器科へ受診、所見ではCTにて大動脈周囲リンパ節転移、下大静脈浸潤ほか、右腎動脈浸潤、肺転移を認め、原因不明癌と診断され、経過をみていたが、安静時に腰痛と右下肢症状が増強し、オキシコドン塩酸塩水和物徐放剤の内服で対処した。その結果、腰痛は軽減したものの、右下肢症状の改善はなく、緩和ケア内科へ紹介となった。入院時所見から右臀部の病変が疑われ、MRIを施行したところ右臀部に腫瘤が確認され、右坐骨神経の神経原性腫瘍が考えられた。以後、これが右下肢症状の主な原因とし、プレガバリンの内服にて症状は軽減し、坐位や歩行が可能となったが、患者は約1ヵ月半後に癌の進行により死亡となった。
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