発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012339631
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57歳女。約10ヵ月前より、左中指屈曲時に関節掌側に弾発感を自覚し受診となった。初診時、左正中神経支配領域に軽度のしびれ感を自覚し、Tinel徴候が陽性、Phalen徴候は陰性であった、また、手関節掌・尺側に指屈曲時に皮膚隆起の出現、伸展時に消退を認めた。MRIでは、手関節部屈筋腱近傍にT1、T2強調画像で不均一に高信号を呈する領域を認めた。超音波像では、長軸像で楕円形の腫瘤と考えられる均一な高エコー像を認め、短軸像で腫瘤の周囲に低エコー像を認めた。Semmes-Weinsteinテストで中指に触覚低下、末梢神経伝導速度検査で、左正中神経の終末潜時が軽度の延長、感覚神経伝導速度が軽度の低下を認めた。以上のことから、手関節部弾発現象と毛根管症候群を合併した腫瘤と考え、腫瘤と増生した滑膜を摘出した。病理診断は滑膜脂肪腫であった。術後、症状は改善し、経過良好である。
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