発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010338484
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
54歳女性。患者は27歳時に全身性エリテマトーデスを発症、40歳時に血液透析導入の既往があった。今回、右前腕近位部の腫脹で受診となった。所見では右前腕近位掌側に5cm大のやや硬く境界不明瞭で熱感ある腫瘤が認められた。また、MRIでは右肘部で上腕二頭筋腱、回外筋、一部の腕橈骨筋にかけてT1強調で低信号、T2強調で不均一な高信号が広がっており、上腕二頭筋腱周囲にはT2強調で高信号域が認められた。以上より、遠位上腕二頭筋腱周囲の炎症性病変と考え、手術を行ったところ、術中、筋膜切開で筋間に入ると黄色の浸出液が流出し、その深部で上腕二頭筋腱の約2/3が断裂しており、断端が丸く短縮して腫瘤状となり、周囲には腱鞘滑膜の増生がみられた。以後、滑膜切除を行い、上腕二頭筋腱を新鮮化して側側縫合が行われた。病理所見では腱鞘滑膜にフィブリン析出、リンパ球浸潤がみられ、滑膜下の脂肪組織内にはコンゴ-レッド陽性のアミロイド結節が確認された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010