発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009159682
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症例は76歳男性で、11ヵ月前に起床時に背部痛と共に両下肢脱力が出現し、他院にて腰部脊柱管狭窄症の診断にて安静・加療を受け、一本杖歩行可能となった。今回、立ち上がった際に再度両側下肢脱力が出現、保存的治療では変化なく、MRIにて脊髄円錐髄内腫瘍を指摘され発症後15ヵ月で紹介来院となった。初診時、MRIではTh1~L1にかけてT1強調像で低~等信号がび漫性に混在し、T2強調像では等~高信号が混在しておりGdでは円錐部中央が像影された。T2強調軸位像では後索部に高信号域を認め、CTでは脊髄腫大を認めたが、解離性大動脈瘤は認めなかった。以上の所見から脊髄円錐内腫瘍の診断にて、Th11~L1上部の椎弓切除を行い、後正中溝より展開すると境界不明瞭な黄褐色の軟化壊死組織を認め、可及的切除を行った。術翌日には下肢筋力は術前と著変なく、術後5日に座位を、術後14日に立位訓練・平行棒内歩行を開始し、術後5ヵ月の時点で短下肢装具にて歩行器歩行訓練中であり、術後6ヵ月のMRIでは脊髄病変の腫脹は軽減していた。切除標本の病理組織学的所見では血管腫や神経膠腫の所見は認めず、陳旧性の出血性梗塞に合致する所見であった。
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