発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008012085
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71歳女、項部~肩甲背部の疼痛を主訴とした。高血圧でアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用中であった。起床時に咳をして両上肢前胸部に電撃痛が出現したが、数秒で消失した。また、畑仕事をして激しい咳が持続し、前胸部痛、項部痛、背部痛が出現、持続した。入院時、背部~頸部にかけての激痛、髄膜刺激症状、項頸部~背部、両上肢、Th6-Th7皮膚分節の知覚過敏を認めた。腰椎穿刺にて髄液はキサントクロミー陽性、血性、細胞数の著明な上昇を認めた。MRIのT1強調矢状断像ではC7/Th1~Th4レベルの脊髄腹側に線状の高信号域を認め、横断像では脊髄前方を取り囲むように存在していた。T2強調像ではTh4~Th10レベルの脊髄背側に低信号域の塊が不連続にみられた。特発性くも膜下出血と診断し、脊髄圧迫症状がみられなかったため保存的治療とした。入院2週間後より疼痛は徐々に軽快し、MRIでは脊髄腹側の出血は退縮していた。ACE阻害薬の副作用と考えられる咳は持続し、降圧薬をACE阻害薬からβブロッカーに変更した。咳は消失し疼痛もほぼ軽快した。その後のMRIでは出血像や血腫の消失を認め、発症後3年7ヵ月の現在、再発はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007