発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008366096
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44歳男。電動鋸に右足が巻き込まれ受傷した。右母趾はほぼ完全に切断しており、皮膚の一部のみが連続していた。第2、3趾は伸筋腱及び趾神経血管が断裂しており、不全切断であった。第4趾は背側の切創であった。緊急手術を行い、母趾基節骨をミニプレートで趾節間関節ごと固定し、顕微鏡下に母趾外側底側趾動脈の断裂に対して端端吻合を試みた。しかし、足趾が短く、皮膚及び軟部組織が硬いため、血管を十分に露出できず、術野を確保できないまま、深い位置で血管吻合を行わざるをえなくなり、吻合ができなかった。このため、同側の足背皮静脈を採取して、母趾外側底側趾動脈断裂部の間に移植することで血管吻合した。第2、3趾は比較的血行が保たれていたため、血管再建は行わなかった。第2趾基節骨は粉砕が強く、ピンニングを試みたが不可能で、第3趾基節骨はC-ワイヤーで固定した。術直後よりウロキナーゼ持続点滴を行い、術後2週より全荷重での歩行練習を開始した。術後3週で第3趾のC-ワイヤーを抜去し、術後4週で独歩可能となった。術後5ヵ月現在、歩行や爪先立ち、階段昇降が可能で、就労に復帰した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008