発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004128383
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56歳男.右上肢の痺れ感を主訴とした.近医にて胸肋鎖骨肥厚症との診断で消炎鎮痛薬投与や扁桃摘出術を受けたが,痺れ感は改善しなかった.初診時,CRPは高値を示し,両足底部の皮疹と前胸部にステロイドによる難治性の湿疹を認めた.X線では両鎖骨近位部の肥厚を認め,右鎖骨近位部は肋骨と癒合していた.骨シンチグラムでは前胸部骨と上位胸椎部に集積を認めた.初診より4年目で背部痛が出現し,胸椎X線にて各椎間腔の狭小化と椎体の軽度癒合を認めた.初診から5年頃より脊椎の後湾は進行した.その後,呼吸困難を自覚し,検査所見より慢性の低酸素血症状態と考え低流量の酸素投与を行うもCO2が上昇し,投与中止した.初診から9年6ヵ月,呼吸不全で死亡した.病理解剖では,鎖骨断面の直径は拡大し,骨髄内及びその皮下側の辺縁部に黄色調の粘液を認めた.病理組織所見では,肥厚した脊椎椎体辺縁部にはmicro abscessを伴っており,同部の拡大像では形質細胞や好中球を中心とした炎症細胞を認めた
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