腫瘍と骨ミネラル代謝
乳癌の骨転移病変とRANKL
中島 友紀
1
1東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学
キーワード:
Estrogens
,
Progesterone
,
シグナルトランスダクション
,
幹細胞
,
黒色腫
,
骨腫瘍
,
腫瘍転移
,
上皮細胞
,
前立腺腫瘍
,
乳房腫瘍
,
Medroxyprogesterone Acetate
,
ノックアウトマウス
,
破骨細胞分化因子
,
ヒトの乳腺
,
Receptor Activator of Nuclear Factor-Kappa B
Keyword:
Bone Neoplasms
,
Breast Neoplasms
,
Epithelial Cells
,
Estrogens
,
Melanoma
,
Neoplasm Metastasis
,
Prostatic Neoplasms
,
Progesterone
,
Stem Cells
,
Signal Transduction
,
Medroxyprogesterone Acetate
,
Mice, Knockout
,
Mammary Glands, Human
,
RANK Ligand
,
Receptor Activator of Nuclear Factor-kappa B
pp.15-23
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2014108383
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RANKL/RANK欠損マウスの乳腺は,性成熟の間は正常に発生するが,妊娠期では,乳腺上皮の増殖が障害され乳腺葉構造が形成されず,仔マウスは餓死に至る.授乳期の乳腺成熟に,プロゲステロンに応じて起こる乳腺上皮の主要な増殖応答にRANKLの関与が報告されているが,乳癌発生にRANKLが機能的にかかわっている証拠は,これまで見出されていなかった.また,ホルモン補充療法に使用されるプロゲステロン誘導体であるプロゲスチンと乳癌発症のリスクは相関することが知られているが,この基盤となるメカニズムは長い間不明であった.最近,乳腺上皮細胞特異的なRANK欠損マウスやトランスジェニックマウスを用いた検討から,プロゲスチンがRANKLを誘導して乳癌を発症させることが見出された.さらに,RANKシグナルの薬理学的阻害は,乳癌の発症や骨への転移を顕著に抑制できることが見出され,RANKL/RANK経路を標的とした乳癌の新たな制御法に繋がりつつある.
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