発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2001146180
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39歳男.労作後の右母指基部痛を主訴に受診し,X線像上の異常陰影を指摘された.右手大菱形骨橈側部と長母指外転筋腱部に圧痛を認めた.Finkelsteinテストの肢位では,大菱形骨部に軽度の運動時痛を認めた.単純X線では大菱形骨橈側内に,周囲に軽度の骨硬化像を認める,比較的境界明瞭な10×10mmの骨透亮像がみられた.ガリウムおよび骨シンチグラフィーでは病変部に異常集積はなく,大菱形骨骨内腫瘍の疑いで手術した.長母指外転筋腱直下には1×2mmのゼリー状の内容物をもつガングリオンを認め,摘出した.大菱形骨橈側を開窓し,内部の透明なゼリー状の内容物を骨内の被膜を含めて摘出した.さらに,尺骨肘頭部からの自家海綿骨移植を行った.病理組織学的には骨組織と膠原線維にスリット状の間隙を認め,被膜内層に管壁細胞を認めない結合組織であった.術後5年が良好に経過している
©Nankodo Co., Ltd., 2001