食道癌外科治療のすべて
胃管による食道再建
吉田 直矢
1
,
馬場 祥史
,
馬場 秀夫
1熊本大学 消化器外科
キーワード:
食道形成術
,
食道腫瘍
,
食道切除
,
食道胃吻合術
Keyword:
Esophageal Neoplasms
,
Esophagoplasty
,
Esophagectomy
pp.346-349
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017206048
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縫合不全は食道切除再建術後の主要な合併症の一つであり,時に重症化しcriticalな経過をたどることがある.また吻合部狭窄の原因となり,術後の生活の質(QOL)の低下をきたす.これを予防するためには,良好な胃管の作成と丁寧な吻合操作が重要である.良好な胃管とは,頸部吻合部までの十分な挙上性があり,吻合部の血流がよい胃管をさす.またある程度の貯留能と排泄能があることが望ましい.当科では吻合部関連合併症の頻度や術後1年目の体重変化率をもとに,胃管作成法や吻合法に改善を加えてきている.現在は,細径胃管よりも亜全胃管を用いることが多くなり,また用手的な幽門形成を付加している.食道胃管吻合は手縫いの層々吻合で行い,大網弁がある場合には吻合部への大網被覆を追加している.この手技になってから縫合不全と吻合部狭窄は低率になり,食事摂取量にも改善がみられている.本稿では胃管作成の手技と,それに関連したさまざまなオプションについて解説する.
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