発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016136602
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28歳女。後頸部の腫瘤を主訴に当院を受診した。局所麻酔下に摘出術を施行したところ、病理結果は隆起性皮膚線維肉腫の診断であったため、拡大切除術を追加し、皮膚欠損部には人工真皮を貼付した。今回、同部位に対し分層植皮術を予定し入院となり、植皮術直前の皮膚欠損部の創部培養からMRSEが検出されたため、術中よりvancomycin投与を開始した。vancomycinは通常の投与量であったが血中濃度の著明な上昇を認め、植皮術後4日目には急性腎障害を生じた。vancomycin投与を中止し、乳酸リンゲル液を投与したところ、vancomycin血中濃度やクレアチニン値は速やかに低下した。術後20日目にはすべての症状が改善し、腎機能障害を残すことなく退院した。
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