発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013031679
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60歳代女性。高血圧にて近医で経過観察中、腹部超音波検査で胆嚢ポリープを指摘され、著者らの施設にある内科へ紹介後、コレステロールポリープと診断された。だが、初診から15ヵ月経過でポリープの増大傾向を認めたため、外科へ入院となった。所見ではCA19-9値が上昇しており、腹部超音波では胆嚢頸部から体部にかけて5mmから最大12mm大の内部が比較的均一な高エコーを示す隆起性病変が複数認められたが、後方エコーの増強や豊富な血流シグナルは認められなかった。総じてコレステロールポリープと考えられたが、腹部造影CTやMRIによる検査からは完全に悪性が否定できなかったことから、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したところ、切除標本は肉眼的にはコレステロールポリープであったが、病理組織学的所見では最大径を呈したコレステロールポリープの一部に高分化型管状腺癌が確認された。以上より、本症例は同一病変内のコレステロールポリープと早期胆嚢癌の合併と診断された。尚、術後は正常化には至らなかったもののCA19-9値は低下し、手術から2日後に退院となった。目下、2年経過で画像上の再発や他病変は認められていない。
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