発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011257492
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過去2年間に完全直腸脱症例3例に対し、硫酸アルミニウムとタンニン酸を用いた注射硬化剤(ALTA)とThiersch法の併用療法を施行した。全例女性で平均年齢は72.7歳であった。併存疾患として強皮症、虚血性心筋症、股関節脱臼で装具固定中が各1例あり、股関節脱臼例では全身状態が悪く、経肛門的手術を選択した。局所麻酔下に27G注射針を用い、0.5~1mlのALTAを20~65ヶ所の直腸粘膜下層に注入した。ALTA注射量は平均31mlで、注射後はマッサージを十分行い、薬液を浸透させた。肛門径が3横指以上で、肛門括約筋の緊張が弱いため、2号ナイロン糸を二重にしてThiersch法を併用し、10ml注射筒の径に縫縮した。手術時間は平均32分で、合併症はなく、疼痛、出血もほとんどなかった。術後2~24ヵ月が経過するが、排便困難や再発は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011