発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011111343
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虫垂炎と腹痛との関係についてretrospectiveに検討した。虫垂炎切除術を施行した337例のうち、「腹の中心部痛に続いて右下腹部痛と圧痛がみられた」「虫垂内腔に明らかな閉塞所見がみられた」「虫垂が病理学的に正常かわずかに炎症(カタル性)がみられた」の3条件を満たす症例を選出し、病理学的に正常であった8例と粘膜までの軽い炎症がみられた6例で検討を行った。腹痛について検討したところ、虫垂が正常であった8例は腹の中心部痛(上腹部痛、臍部痛)に続いて48時間以内に右下腹部痛を認め、1例を除いて同部に圧痛がみられた。虫垂にカタル性炎症がみられた6例では、腹の中心部痛(上腹部痛、臍部痛、汎腹痛)に続いて24時間以内に右下腹部痛と圧痛を認めた。14例全例で糞石などによる虫垂内腔の閉塞を認めた。真性内臓痛、関連痛は、虫垂の炎症なしに中枢内圧上昇により発現すると考えられた。また、側腹痛は虫垂炎が進み腹膜を刺激して発現してくるため、特に右下腹部痛は関連痛か側腹痛によるか見極める事が重要であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011