乳癌治療の最前線
乳癌薬物療法における進歩と最近の話題 化学療法の基本的考え方と具体的進め方
渡辺 亨
1
,
田原 梨絵
,
相良 安昭
,
相原 智彦
1浜松オンコロジーセンター 腫瘍内科
キーワード:
抗腫瘍剤
,
Estrogen Receptors
,
Progesterone Receptors
,
乳房腫瘍
,
erbB-2遺伝子
,
Paclitaxel
,
アジュバント化学療法
,
コンセンサス開発会議
,
多施設共同研究
,
ランダム化比較試験
,
ネオアジュバント療法
,
Trastuzumab
,
Tegafur-Uracil
Keyword:
Trastuzumab
,
Antineoplastic Agents
,
Breast Neoplasms
,
Consensus Development Conferences as Topic
,
Receptors, Estrogen
,
Receptors, Progesterone
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Multicenter Studies as Topic
,
Chemotherapy, Adjuvant
,
Paclitaxel
,
Genes, erbB-2
,
Neoadjuvant Therapy
pp.1179-1187
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009362353
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乳癌初期治療における薬物療法は、外科手術、放射線治療といった局所治療との合力において乳癌という疾病を完全治癒せしめることを最大の目標として実践すべきものである。術前薬物療法は、先に述べた治癒という目標に加え、患者容姿の整容性ならびに日常生活機能の保全を目的とした臓器温存および見張り番リンパ節生検検査を用いた高水準外科手術を可能にする点において、優良な貢献をすること必定である。術後薬物療法も同様に乳癌という疾病の完全治癒をめざすものである。しかるに、治療対象である微小転移は不可視であるがゆえ、その効果の発現を確認することがきわめて困難である。確率論的推論技術を駆使した臨床判断の展開が重要であるが、同時に不確実性に関する想いを馳せ、標準治療を尊重し、根拠なき独断による治療の実践は厳に慎むべきである。
©Nankodo Co., Ltd., 2009