発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009037046
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63歳男性。患者は左下肢人工血管バイパス術後6ヵ月、16ヵ月、27ヵ月にグラフト閉塞を生じ、いずれも3D-CT上は左下肢人工血管近位部での閉塞で、血栓除去術が施行された。今回、術後28ヵ月目に左下肢の違和感、蒼白、間欠跛行が出現し、3D-CTで前回同様に左下肢近位部の人工血管グラフト閉塞を認め、繰り返すグラフト閉塞の精査目的で入院となった。入院当日に血栓除去術を施行したが、術後、臥位で触知できる足背動脈の拍動が股関節屈曲位で触知できないことに気づき、屈曲位で64列マルチスライスCTを撮影した。その結果、左股関節屈曲によるグラフト閉塞が確認され、手術が行なわれた。今回の手術では人工血管中枢側吻合部を大動脈-左大腿動脈人工血管に施行したが、癒着が著明であり、またF-Fバイパスの人工血管がその部位の前面を通過していたため、人工血管を鼠径靱帯に沿って外側から内側に留置することで屈曲時の人工血管の狭窄を防ぐことができた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008