発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006136479
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わが国で小児外科の診療が始まって約半世紀になる.小児外科疾患の治療成績は大幅に向上し,長期生存例は確実に増加したが,不完全治癒や晩期障害を克服できない難治性疾患があることも事実である.2006年の日本外科学会で成人期に達したこれら小児の外科的疾患の問題点がシンポジウムで取り上げられることとなった.成人期に達した患者の多くは社会生活を問題なく過ごしているが,高位鎖肛,胆道閉鎖,食道閉鎖,重症の先天性心疾患では原病や手術からくる後障害に悩まされており,再手術や移植を必要とすることもある.また,成長や妊娠に伴って病状が悪化する例もあった.胆道閉鎖では移植を成人期になってから必要となる例もあり,小児期とは異なった問題点がみられた.先天性心疾患では再手術やペースメーカー植込みなどを必要とすることもある.今後,さらに重症の疾患が成人期に達するにつれ新たな問題が小児の外科的疾患に生じると考えられ,その対策が必要である
©Nankodo Co., Ltd., 2006