発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292647
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68歳女。数年前より結核後遺症に伴う右慢性膿胸のため近医で経過観察されていたが、血痰および呼吸困難の増悪を来たし当科紹介となった。胸部X線で右肺野の呑気低下を認め、一部石灰化があり、縦隔は左方偏位し気道を圧迫していた。CTで右胸腔内は石灰化を伴う腫瘤で占拠され、内部に造影効果は認めなかった。膿胸腔生検、気管支鏡検査で確定診断が得られず、入院7日目に呼吸状態が急激に悪化して膿胸腔増大、気管偏位増悪を認めた。緊急手術を施行し、胸骨正中切開でアプローチして第5肋間での右前側方切開を追加した。強固な胸壁石灰化のため剥離に難渋したが、安全に剥皮右肺全摘術を完遂できた。病理組織所見で、胸膜には線維性肥厚が目立ち、散在性に斑状石灰化を伴っていた。胸腔内には血液を混じた多量のフィブリン様物質の塊がみられ、一部器質化していた。悪性所見や感染所見はなく、慢性出血性膿胸と診断した。術後縦隔偏位は改善し、38日目に前医へ転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011