心・肺移植後の合併症
心移植 心移植患者の遠隔期合併症
加藤 倫子
1
,
中谷 武嗣
,
北村 惣一郎
1国立循環器病センター 心臓血管内科
キーワード:
Creatinine
,
Ciclosporin
,
Mycophenolic Acid
,
Steroids
,
冠動脈疾患
,
抗炎症剤
,
高血圧
,
術後合併症
,
心筋症-拡張型
,
心筋症-肥大性
,
心臓移植
,
腎臓疾患
,
多剤併用療法
,
糖尿病
,
リンパ増殖性疾患
,
インターベンショナル超音波診断
Keyword:
Anti-Inflammatory Agents
,
Cardiomyopathy, Dilated
,
Cardiomyopathy, Hypertrophic
,
Coronary Disease
,
Creatinine
,
Diabetes Mellitus
,
Drug Therapy, Combination
,
Hypertension
,
Lymphoproliferative Disorders
,
Kidney Diseases
,
Mycophenolic Acid
,
Postoperative Complications
,
Steroids
,
Heart Transplantation
,
Cyclosporine
,
Ultrasonography, Interventional
pp.963-968
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007346096
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心移植後患者21例を対象として、遠隔期に発生する問題点や合併症について検討した。心移植術式はLower & Shumway法とbicaval anastomosis法が各1例、modified bicaval anastomosis法が19例であった。心移植後免疫抑制療法はステロイド+カルシニューリン阻害薬+核酸合成阻害薬の3剤併用療法を行い、移植前あるいは周術期における高度腎機能障害例に対しては周術期のカルシニューリン阻害薬導入遅延あるいは投与量の減量を目的にOKT3(7例)やbasiliximab(1例)を併用した。免疫抑制薬血中濃度のAUC0-12hを測定し、免疫抑制薬の至適投与量の指標とした。1例が移植後4年3ヵ月で感染症にて死亡した。移植後冠状動脈病変(血管内エコーでの評価にてStanford class IV以上)は8例(38.1%)、高血圧は4例(19%)、高脂血症は1例(4.8%)、糖尿病は2例(9.5%)に認めた。血清Cr値1.5mg/dl以上の腎機能障害は2例(9.5%)に認めたが、血清Cr値2.0mg/dl以上ないしは人工透析を要した症例は無かった。また悪性疾患の発症は認めなかった。心移植後遠隔期には、TxCADやPTLDなど生命に直結する合併症も発生しうる。副作用や相互作用を考慮した適切な免疫抑制薬の調整を行い、他臓器の保護やこれら重篤な合併症の発生を念頭におきながら、かつQOLを考えた治療が必要である。
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