- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
対象は頸部分枝血行再建を伴ったステントグラフト(SG)留置術6例(男、年齢70~82歳、平均年齢75歳)、5例は真性瘤で1例はLSCA再建を伴う遠位弓部~下行大動脈置換後の末梢側吻合部瘤であった。SG適応としては慢性閉塞性肺疾患(COPD)が3例、再手術が1例、高齢が1例、残り1例は合併症はなかった。中枢のlanding zoneはIshimuraらの分類のzone0、1、2、3が各2例であった。用いたステントはZステント1例、Matsui-Kitamura(MK)ステントは5例で用いた。頸動脈再建はLSCA再建を全例で施行し、zone0の2例ではLCCAをSGで閉塞の恐れのため予防的にICCA再建も行った。その結果、在院死亡は認めなかった。Zステントに直型シースを用いた1例ではデリバリー不可で、後日オープンステントを用いて治療した。この症例ではAX-AXバイパスが行われた。他の5例ではendoleakなく初期成功が得られた。オクルーダSG挿入を試みた1例ではLSCAの屈曲が強く留置断念したもののtypeIIのendoleakはきたさなかった。予防的LCCA再建を行った2例ではSG後もLCCAの血流が温存されたためバイパスは離断した。術後合併症はなく新たな反回神経麻痺もなかったが、LCCA-LSCAバイパスの1例で左横隔神経不全麻痺を認めた。術中、椎骨動脈起始部中枢でLSCAを結紮した症例の1例では術後CTで椎骨動脈起始部末梢での結紮であったことが判明したが、特に脳虚血症状は出現しなかった。また、LSCAは椎骨動脈からの血液で結紮中枢部も造影したが、typeIIのleakにはならなかった。術後1ヵ月~5年4ヵ月で遠隔死亡はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2006