発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100266
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症例1(73歳女)。CT所見は下大静脈(IVC)内に血栓および両側の主肺動脈内に血栓を認めた。ウロキナーゼ静注による血栓溶解療法は4日目まで改善せず、IVCフィルタ留置およびカテーテル検査でショック、心停止のため経皮的心肺補助(PCPS)を開始して緊急手術を施行した。術後よりカテコラミン投与を必要とせず循環動態は安定し酸素化能も順調に回復したが低酸素脳症に起因する意識障害が続き、術後6ヵ月で死亡した。症例2(76歳女)。左右主肺動脈に著明な血栓を認め肺動脈血栓塞栓症(PTE)診断で3日間、血栓溶解療法を施行したが改善せず、心エコーで右心室拡大の悪化を認め手術を施行した。右側血栓は器質化しており左側は赤色血栓が主で急性期のものであった。術後2日目に気管内チューブ抜管したが酸素化能の改善はみられず、在宅酸素療法を導入し術後28日で退院した。その後、次第に改善して在宅酸素療法は不要となった。症例3(77歳女)。肺動脈造影で右肺動脈に大きな血栓を認め、さらに動脈圧80/35mmHgと肺高血圧を認めPTEと診断された。右側の巨大血栓は右冠状動脈の75%以上に有意狭窄を認め、3日間のウロキナーゼ静注による保存的治療を継続したが改善せず、心エコーで肺高血圧による三尖弁の逆流を伴う右室の拡大を認めたため、右心機能障害の進行と判断し手術を施行した。右側血栓は器質化しており摘出は困難で左側は全体に血栓は赤色で急性期のもので右中枢側では器質化を認めた。右内胸動脈-右冠状動脈バイパス術を併施し術後2日に抜管し22日に軽快退院した。心停止となった症例1の反省から早期に手術を施行した。
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