発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007050559
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2004年4月~2005年5月に施行した冠状動脈バイパス術(CABG)に大伏在静脈グラフト(SVG)を用いた50例(男34例、女16例、年齢63~89歳)を対象に、静脈グラフト専用自動吻合器PAS-Port(PP)によるSVG吻合群(P群・30例)と手縫いによるSVG吻合群(C群・20例)に分けて比較検討した。PP吻合の失敗で手縫いを要した2例はC群としSVG外径は4.0~6.0mmで全例大腿から採取した。患者背景において弁膜症の合併がC群に10例(50%)とP群の5例(16.7%)に比べ有意に多い以外に差異はなかった。PPは対象50例中32例に36本のSVGを使用し、P群中30例の34本が成功(吻合成功率94.4%)し、2例は失敗したが1例はside-clamp下にSVGを吻合し、もう1例は大動脈切開口へHeartstringを挿入し大動脈遮断なしで吻合した。また、C群中SVGが細くPP吻合できない2例があった。早期手術成績では入院死亡は両群に各1名認め、術後合併症はP群で3例(10.0%)、C群で3例(15.0%)発生したが軽快治癒し、脳梗塞は両群ともなかった。グラフト造影ではP群は31本中30本が良好に開存(96.8%)し、C群ではSVG20本全てが良好に開存(100%)していた。以上より、PPは簡便かつ確実な吻合が出来る有用な中枢用吻合機器と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2006