特集 アストロバイオロジーとの遭遇:生命のルーツを探る旅
RNAワールドの成立・維持と発展的解消
木賀 大介
1
1東京工業大学 大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻
キーワード:
Oligopeptides
,
RNA
,
生物の起源
,
Catalytic RNA
,
自己複製
Keyword:
Origin of Life
,
Oligopeptides
,
RNA
,
RNA, Catalytic
pp.111-115
発行日 2016年1月22日
Published Date 2016/1/22
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「生命とは,ある環境において自分と大体同じものを自分が壊れる前に作れるシステムである」と表現することができる.本稿の主題であるRNAワールドでは,環境から入手可能な分子とエネルギーを用いて,「同じもの」を速く造るための触媒活性をRNAが実現している.同時に,その原子団が活性を持つ立体配置を実現するための情報も同一種の分子RNAで実現している.そして化学進化から現在の生命の共通祖先に至る過程では,いくつもの「遺伝的乗っ取り」があったと考えられている.これらのRNAの能力により,その過程のある時期の主役をRNAとするRNAワールド仮説は,魅力的であり続けている.本稿では,情報担体としてのRNAの性質をオリゴペプチドと対比しながら,酵素(リボザイム)としてのRNAの性質について確認する.その後,RNAワールドの未解決問題について議論する.
Copyright © 2016, Gakken Medical Shujunsha Co., Ltd. All rights reserved.