特集 性決定分化の制御システム:疾患性差・性転換をもたらす♂化・♀化のせめぎ合い
せるてく・あらかると
性転換を研究する
長濱 嘉孝
1
1愛媛大学 社会連携推進機構 教授
pp.178-180
発行日 2013年1月22日
Published Date 2013/1/22
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サンゴ礁に棲むある種の魚は性転換する.このことを自身の目で確かめたくて1980年代の半ばにハワイを訪れた.ハワイ大学海洋研究所は,周囲を美しいサンゴ礁に囲まれた小さな島にあった.早速,エンジン付きのボートを運転して近くのサンゴ礁に出かけ,イカの切り身を餌にしてハワイ産ベラ(Saddlebackwrasse, Thalassoma duperrey)をたくさん釣った.研究室に持ち帰ったベラを大小2尾の雌をペアにして生いけすけ簀で飼いながら1カ月ほど待った.半信半疑で生殖腺を調べると大きな雌は見事に雄に性転換していた.このときの強烈な印象が性研究へとかき立てた.それ以来の20数年間,共同研究者(琉球大学・中村 將教授)らとともに性の研究を少しずつ進めてきた.
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