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はじめに
日常診療において肝機能異常はきわめてcommon な所見である.健診や定期採血でアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase:AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase:ALT),アルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase:ALP),ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase:γGTP)の上昇を指摘され,その対応に迷う場面は少なくない.多くの症例は無症状であり,「しばらく様子を見る」と判断されがちである.
しかし,その肝機能異常が薬剤性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)の初発所見であることは決してまれではない.DILI に特異的な症状や検査所見は存在せず,診断の分かれ目は検査値の高さそのものではなく,「異常をみた瞬間に薬剤を想起できるかどうか」にある.抗菌薬や解熱鎮痛薬に限らず,漢方薬やサプリメントも原因となり得る.
さらに近年,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)の適応拡大により,免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)としての肝障害も,非専門医が遭遇し得る時代となった.
本稿では,実地医家が肝機能異常を前にした際にDILI を疑うための「気づきのポイント」を整理し,γGTP を含めた入口の考え方,『RECAM-J 2023』に基づく評価,さらにICIによる肝障害の要点について概説する.

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