わたしの大切な作業・第91回
歩くと思い出す、思いつく
久住 昌之
pp.1277
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590121277
- 有料閲覧
- 文献概要
マンガや文章の仕事をし始めた20代前半から、お話ができない時やオチが思いつかない時は、家を出て隣駅まで歩くことが多かった。
当時は三鷹に住んでいたので、自宅から吉祥寺まで歩く。歩きながら考えているかというと、そうでもない。ただ切羽詰まった締め切りのことを忘れて歩く。30分ぐらい。それで適当な喫茶店に入って、紙を出して考えると、ひょいと新しいアイデアを思いつく。もう時間がないからそれしかない。迷うことなく夢中で仕上げる。今考えると歩くのは「気分転換」だったんだと思う。当時はただプレッシャーから逃げ出した気持ちだった。
Copyright © 2025, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.

