第1特集 エコーを聴診器のように使おう!
こんなとき,エコーが活きる!
腹部の身体所見×エコー
-─限られた時間で効率よく診療するために─
岡本 雄太郎
1
1山口市徳地診療所 山口県立総合医療センター へき地医療支援部
pp.1668-1672
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025130004
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はじめに
外来や地域の診療現場では,日常的に腹痛を訴える患者に出会う.しかし,そのなかには急性虫垂炎,胆嚢炎,大動脈瘤破裂といった生命を脅かす疾患が潜んでいることも少なくない.病歴聴取と身体診察は診断の基本であるが限界があり,すべてを拾い上げることは難しい.近年,ポケットエコーの普及により診察室や在宅でも容易にエコーを活用できるようになった.病歴・身体診察にエコーを加えることで視覚的な情報が得られ,診断の精度が高まる.その結果,迅速な搬送や紹介につながり,安全に経過観察を選択できるようになる.腹痛はプライマリ・ケアで最も頻度の高い訴えの1つであり,アメリカやヨーロッパの報告でも救急外来受診理由の上位を占めている.重症例を見逃さないことは,患者の予後に直結する課題である.本稿では,その解決の一助となるpoint-of-care ultrasound(POCUS)をどのように組み合わせればよいのかを整理し,プライマリ・ケア医に役立つ実践的視点を提示する.

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