連載 総合診療POEMs ─診療で使える!旬なオススメ文献─ 第23回
慢性腎臓病を伴う無症候性高尿酸血症に対して薬物療法を開始するタイミングは?
岡田 悟
1
,
前田 遥
2
,
森川 暢
3
,
井上 博人
4
1東京北医療センター 総合診療科
2村立東海病院
3市立奈良病院 総合診療科
4地域医療振興協会 地域医療研究所
pp.812-817
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025060024
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慢性腎臓病を有する患者の尿酸高値が判明したけれど薬物療法を始めたほうがよいの?
外来診療において定期通院,2次健診で受診した患者に,偶発的に高尿酸血症を認めることがあるが,痛風発作の既往がなければ薬物療法は開始せず,次回の定期外来・健診でのフォローアップを推奨することが多かった.今回,整形外科入院中の年単位で進行する腎機能障害を有する高齢女性の診察を依頼され,血液検査結果を確認するとCre 1.4 mg/dLの腎機能障害以外に尿酸12.9 mg/dLの無症候性高尿酸血症を認めた.
わが国の高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは,無症候性高尿酸血症に関して薬物治療の導入は血清尿酸値8.0 mg/dL以上を一応の目安にする(図1)が適応は慎重にすべき,エビデンスや薬物の副作用について情報を患者に示し検討することが望ましい,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では高尿酸血症を有する割合が高いが高尿酸血症が慢性腎臓病を進行させるかは解決されていないと記されている1).また,欧米のガイドラインでも痛風発作やCKD などを並存しない場合,無症候性高尿酸血症に対する薬物療法を推奨しないと記載されている2, 3).
明確な指針がない状態であり,改めて無症候性高尿酸血症を有するCKD 患者への尿酸降下薬開始について考えてみた.

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