特集 総合診療×脳梗塞
急性期:診断から急性期病院での治療,精査,退院まで
超急性期の専門的治療が必要になるとき
─ rt-PA,血栓回収の適応─
小幡 佳輝
1
1東京北医療センター 脳神経外科
pp.1335-1337
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023110004
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はじめに
脳梗塞は脳血管障害の75%を占め,高齢者において発症率が増加する傾向がある.し たがって高齢化が進む日本では,脳梗塞の発症率は増加する傾向がある.脳梗塞は神経障 害により身体機能や言語能力,認知機能に障害をきたし,それにより生活の質が低下しや すく,また致死的になることもある. 急性期脳梗塞の専門的治療は,脳梗塞の症状を迅速に軽減し,脳への損傷を最小限に抑 えることを目指すために行われている.そのなかには,遺伝子組み換え組織型プラスミノ ゲン・アクティベータ(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)であるアル テプラーゼを用いた静注血栓溶解療法や血管内治療による機械的血栓回収療法がある.そ して,これらの治療は急性期脳卒中診療においていまや行うべき治療として認識されてき ている.しかし,これらの治療適応は脳梗塞発症からの時間で決まることが多く,脳梗塞 を発症したすべての患者に行えるものではない.また,治療を行う場合でも,時間経過に より刻一刻と症状が進行するため,できるだけ早く治療を行うことが機能改善にもつなが る.rt-PA静注療法や機械的血栓回収療法をより多くの患者に行い,また治療時間を短縮 するためには医療体制の確立も必要と思われる. 今回は,rt-PA静注療法と機械的血栓回収療法の詳細とその治療を行うための医療体制 について,それぞれの問題点などを概説したい.
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