特集 関節痛 リウマチ・膠原病診療に強くなる
関節痛の診察・診断
関節痛・関節炎の臨床推論
長野 広之
1
1京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野 博士課程
pp.822-826
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023070002
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はじめに
関節痛,関節炎をきたす鑑別疾患は多い.また臨床推論を進めるうえで関節や関節近傍 の構造物(骨,腱,滑液包,筋)などの身体診察は必須であるが,それらを体系的に学ぶ機 会はまだ少ないと思われる.近代医学の父と呼ばれるWilliam Oslerは“When an arthritis patient walks in the front door,I feel like leaving by the back door.”(関節炎患者が前 のドアから入ってきたら,私は後ろのドアから逃げたくなる)という言葉を残しており, 関節炎診療の難しさが垣間見える.次項以降で筋・骨格系の身体所見や検査の解釈,関節 リウマチなど関節炎をきたす疾患については述べられるため,本稿では主に臨床推論,つ まり関節の痛みを訴えた患者を診た際の臨床医の頭のなかを視覚化していくことを目指し ていく. 筆者が関節痛患者を診る際に意識しているのは以下の4点である.
・ 痛みの原因は関節か関節外か
・ 関節痛か関節炎か
・ 関節炎ならば罹患関節数,経過,発症様式,分布を確認する
・ 関節以外の身体所見
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