特集 ポストコロナの感染症
コロナ後の感染症診療プラクティス
コロナと風邪診療
岸田 直樹
1
1感染症コンサルタント
pp.371-377
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023030014
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はじめに
新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の流行により,風邪診療は難しさを増したことは間違いない.通常の風邪ウイルスによる風邪(ウイルス性上気道感染症)やインフルエンザとコロナを臨床症状で区別する難しさ,という側面だけではなく,風邪症状の患者をコロナ流行前と同じような外来診療でみていくことの感染リスクに対する医療者側の恐怖,そして国民がこのコロナに対してもった恐怖,憎しみや怒りも含め,さまざまな困難がこの原稿を書いている2023年1月時点で発生している.とくに,持続的に高い流行という認識となっているわが国においてこの感情はとても強く,コロナはどうなっていくのか?この問に明確な解を提示するのがとても難しいことは,読者のみなさんに説明するのは釈迦に説法であろう.実際,筆者自身も,コロナについて話をする際には必ず大前提として,「コロナは生き物です.正解は時間とともに変わります」というようにしている.コロナがこの地球上で認識されて3年経つ現在でも,コロナとその周辺は程度こそ小さくなったが刻一刻と変わっており,どう付き合っていくか? がとくにこの国で混迷をきわめている.“with コロナ”の方針となったが,われわれ医療者が“風邪”にまぎれるコロナ患者を日常診療の1つとして診られなくて国民がコロナを受け止めることができるであろうか? 本稿では,現時点でみえている未来を踏まえて,「コロナと風邪診療」についてお伝えしたい.
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