連載
腫瘍薬学ハイライト 多発性骨髄腫の治療薬の進歩
川西 正祐
1
1鈴鹿医療科学大学
pp.1668-1669
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023090030
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造血器腫瘍の1種である多発性骨髄腫(MM)は,白血球の中のリンパ球のうちB細胞から分化した形質細胞ががん化して発症する.がん化した骨髄腫細胞は異物を攻撃する能力がない抗体であるMタンパク質を産生する.MMでは,骨髄腫細胞やMタンパク質が増えることより,貧血,腎障害,骨折,血液中のCa値上昇などの症状が発現する.
MMの治療は自家造血幹細胞移植が中心で,強い効果が期待できる半面,合併症によるリスクが大きい.自家移植非適応例での薬物治療成績は,多くの新薬によりこの10年で劇的に改善した.現在,承認された薬にはサリドマイド関連薬がある.分子標的薬として,プロテアソーム阻害薬,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬,抗腫瘍抗体薬には抗CD38抗体と抗SLAMF7抗体がある.その他にステロイド(デキサメタゾン)も併用薬として認められている.
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