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目的
健康な妊婦の入浴の実態を調査し、妊娠期における身体の洗いにくさに影響を及ぼす身体的要因を明らかにする。それによって、妊娠期の入浴支援を検討するための基礎資料を得ることを目的とした。
対象と方法
対象はA県内の産科診療所の外来において定期妊婦健康診査を受診し本調査に承諾が得られた健康な単胎妊娠の妊婦258名とした。調査方法は無記名自記式質問紙を用いた集団調査とした。分析は対象者を妊娠初期群(妊娠15週まで)、妊娠中期群(妊娠16週〜27週まで)及び妊娠末期群(妊娠28週以降)の3群に分類し、さらに妊娠末期群を洗いにくさの有無で「ある群」と「ない群」に分類しそれぞれ属性を比較した。対象者全体及び妊娠末期群において洗いにくさと妊婦の体重増加に及ぼす身体的要因の関係を分析した。
結果
対象者は体重増加量が把握できた妊婦243名で有効回答率は94.2%であった。結果は次の通り。1)洗いにくさを感じている妊婦は妊娠経過に伴い増加し、妊娠末期では約9割と最も多い。2)洗いにくい身体部位は、妊娠末期では「顔面」、「殿部」、「陰部」、「大腿部」、「下腿部」、「足尖部」で主に下半身であった。一方、「腹部」は妊娠中期が最も多い。3)身体の洗いにくさに影響する身体的要因は、①対象者全体では妊娠週数、身長、非妊娠時BMI、腹囲と関係していた。②対象者全体及び妊娠末期では身長と関係し洗いにくさがある妊婦はない妊婦と比較して有意に身長が低い。4)妊娠期の入浴への援助はリスクファクターとしての身長・非妊娠時BMIの情報収集やボディブラシやバスチェアなどの入浴補助用品の活用、入浴時に子どもの世話をする妊婦には入浴補助者を勧める。
結論
洗いにくさに影響する身体的要因は妊娠週数、身長、非妊娠時BMI、腹囲で、妊娠末期では洗いにくさがある妊婦はない妊婦と比較して有意に身長が低い。妊婦の入浴への支援は今後一層、検討される必要がある。
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