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日本老年看護学会第21回学術集会特集 会長講演
死を見据えたケア─高齢者本人とケアチームにおけるケアの創造と統合へ
To Create and Integrate Care for Good Death in Elderly People and Their Care Team
桑田 美代子
1
Miyoko Kuwata
1
1青梅慶友病院看護介護開発室
1Oume Keiyu Hospital
pp.6-8
発行日 2017年1月31日
Published Date 2017/1/31
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1.死を見据えるからこそ生を支える:豊かな最晩年をつくる
青梅慶友病院(以下,当院)は許可病床数736床,入院患者の平均年齢約88歳,平均在院期間3年5か月,9割が認知症を有し,9割が死亡退院する“終の住処”の役割を担った療養病床である.1994年6月,わが国の超高齢社会を見据え,筆者は老人看護分野を専門領域にしたいと考えこの病院に就職した.当時から,「目的なしに行動を制限することは身体拘束である」という病院の考えの下,抑制帯使用者はいなかった.また,食を「五感(みて・噛んで・香り)で味わう」ためミキサー食・きざみ食にはしない.「褥瘡は絶対つくらない・治す」を掲げ,観察とケアを徹底する.「安易な理由でのチューブケアは行わない」を掲げ,カテーテル類を抜去する.子どもの遊びのような余暇支援ではなく,大人の嗜みとしてのレクリエーション活動を目指す試み等,さまざまな取り組みを多職種チームで行うケアが実践されていた.
それと同時に,「あいさつは必ず行う」「ケアの開始,終了時には了承を得る」など,ケアする側の都合ではなく,ケアを受ける側を主体にした考えを重視していた.それを実現するため,「ケアの最高責任者は病棟師長」と現場への権限委譲を行い,超高齢入院患者の治療に関して納得いかない場合,患者・家族の代弁者として医師へ異議を伝えてもよいという裁量が看護管理者に与えられていた.そして,その責任が全うされているか否かの成果のチェックも実施されていた.
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