Japanese
English
巻頭言
超高齢社会における急性期病院の認知症高齢者に対する看護実践能力の展開
Development of the Nursing Practical Competence for the Elderly with Dementia of the Acute Hospitals in the Super Aged Society
鈴木 みずえ
1
Mizue Suzuki
1
1浜松医科大学臨床看護学講座
1Faculty of Nursing, Hamamatsu University School of Medicine
pp.3-5
発行日 2017年1月31日
Published Date 2017/1/31
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
現在,一般病床・療養病床を有する病院における調査での認知症高齢者の割合は,一般病床15.1%,医療療養43.3%,介護療養71.0%と報告(全日本病院協会,2014)されている.せん妄や軽度認知障害高齢者も含めればその割合は多く,今後の高齢化と認知症高齢者の増加を見越せば,急性期病院において認知症高齢者の対応が必要となる.さらには,認知症高齢者の4割は,呼吸器疾患や尿路感染症で入院しやすく,重度の認知機能障害のある高齢者の1/4は死亡により退院となることが報告(Sampson et al., 2009)されており,現代医療における大きな課題となっている.
2004年12月に「痴呆」に替わる呼称として「認知症」に変更になったのを契機に,認知症ケアはいちじるしい勢いで進展を示している.医療の進歩による早期診断が可能となった結果,若年性認知症のご本人が自ら政策提言し,認知症の人の立場に立ったケアが推進されている.近年,さらなる変革として「認知症新時代」という言葉さえも生まれている.しかしながら医療,特に急性期病院の認知症ケアは,近年の認知症ケアとは対照的に「認知症の本人は自覚がないし,なにもわからない」という誤った意識から,身体拘束が当然のように使用されている.認知症に対する偏見などまだまだ課題が山積し,認知症があるだけで積極的な治療が受けられなかったり,認知症と診断されることで,自分で治療を選択することができない場合もある.
Copyright © 2017, Japan Academy of Gerontological Nursing All rights reserved.