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日本老年看護学会設立20周年記念特集「未来への提言」 日本老年看護学会会員の立場から
未来の老年看護学教育に向けて
The Future of Gerontological Nursing Education
山田 律子
1
Ritsuko Yamada
1
1北海道医療大学看護福祉学部
1School of Nursing and Social Services Health Sciences University of Hokkaido
pp.54-58
発行日 2015年6月30日
Published Date 2015/6/30
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- Abstract 文献概要
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1.はじめに
世界に先駆けて超高齢社会を迎えたわが国ゆえに,今後ますます老年看護学教育が重要になることは論を俟(ま)たない.とくにわが国では団塊の世代が後期高齢者になる2025年,いわゆる「2025年問題」に向けて,政治・施策をはじめとして,さまざまな学問領域においても対応策が検討されている.前人未踏の超高齢社会では,多岐にわたる新たな健康課題が生じる可能性が考えられる.したがって,このような時代に即した老年看護学教育が今後ますます求められるといえよう.当然のことながら,1つの専門分野だけで対応できるものではなく,昨今は基礎教育においても多職種連携科目が重視されている.社会情勢を踏まえながら,看護基礎教育から看護継続教育に至るまで,多職種との連携・協働の下にケアを先導できる人を育成するための老年看護学教育の検討が必要である.
その一方で,老年看護学教育のむずかしさは,学ぶ人たちが体験したことのない老年期について学ぶことにある.まして世帯構造が変化し,三世代世帯が2012年には7.6%にまで減少して核家族化が進むなか,高齢者と共に暮らす経験がなく育ってきた学生や若い看護師たちも多い.そのようななかで,いかに老年期を生きる人々の多様で豊かな価値観や生活の営みに対する理解を深め,個々の高齢者の意向に寄り添った最善のケアを展開できる人材を育てていくのか,その教育方法にも工夫が必要である.
本稿では,老年看護学を学問として体系化してきた偉大な先輩たちによる老年看護学教育を礎として,未来に向けた老年看護学教育について,図1に示す看護基礎教育と看護継続教育の2方向から述べてみたい.
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