- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
Ⅰ.はじめに
今年度,本邦初の糖尿病看護認定看護師が15名誕生した.日本看護協会による認定看護師の定義には,「認定看護師とは,認定看護師に必要な教育課程を修了し,ある特定の分野において,熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいい,次の各項の役割を果たす」とあり,その役割は,対象患者への「実践」と看護職者に対する「指導」「相談」である.これらは,「実践」があって初めて「指導」「相談」が可能になるという関連性をもっている.
糖尿病看護認定看護師の場合も,日本看護協会看護研修学校において,6か月間810時間に及ぶ講義・臨床実習を含む教育課程ののち,認定資格試験をパスして,その資格を得たものである.私は,この課程を終え,本年4月より所属していた大学病院の内分泌代謝科7床を含む総数40床の内科系混合病棟に配属になった.
表 1に,当院における認定看護師としての今年度の活動計画を示した.認定看護師1年目である私は,内科系混合病棟ではあるものの糖尿病専門病棟であること,週に1回は糖尿病外来において外来患者の看護面接を行っていることから,「実践」を重視し,主な役割とした.勤務体制は所属病棟の看護師と同じく3交替で,週1回の糖尿病外来における看護面接も5名の看護師による曜日別担当制のなかで行っている.
現在,「実践」の対象となる患者は所属病棟入院中の受け持ち患者,外来で看護面接を行った患者であり,「指導」「相談」の対象となる看護師は所属病棟の看護師である.4月から現在までの6か月間に,入院患者については糖尿病以外の疾患の患者を受け持ちつつ糖尿病患者7名を受け持った.外来患者については,102例(うち,インスリンユーザー43名),140場面のかかわりをもった.平均面接時間は23.9分間,在宅指導料算定件数は41件であった.
まだ詳しい分析・評価は行っていないが,外来患者におけるかかわりの内訳の主なものとしては,65件が血糖コントロール不良に対する個々の問題点への介入で最も多く,次にインスリン・自己血糖測定(以下,SMBG)にかかわる介入が48件,治療に前向きになれず自分なりの自己管理方法を見いだせていない患者に対する介入が31件,初診患者の初期教育的介入が11件であった(図 1).また,入院患者に関しては,他の受け持ち看護師から相談を受ける,あるいは私がその患者に直接かかわり実践モデルとなることで,「指導」や「相談」の役割を担っている.
以上のように,私の認定看護師としての活動はわずか数か月程度で,認定看護師としての経験は大変未熟であり,まだまだ実践から学習し模索している段階ではあるが,この3つの役割について事例も織り交ぜ,現状の報告と専門性についての考えを述べる.
Copyright © 2003, Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. All rights reserved.